◇Pieces セルフライナーノーツ 2011年12月30日のコミックマーケット81にて頒布したアルバムPiecesを手に取って頂きありがとうございます。 このテキストはそんなPiecesを紐解くセルフライナーノーツです。だらだら書いてみた。 あまり作者が作品の内容を「これはこうなんだ」とべらべらしゃべるのは無粋かなーとは思うのですが、あくまで自分の解釈という事で。 解釈に正解なんかはないと思う。ライナーノーツ読むの凄い好きなんでどんどん増えないかな。 そんな訳で、想像のお供にして頂けたら。 0.Pieces #Image CDの帯に書いてあるキャッチフレーズやインフォメーションそのままです。欠片の集まりです。 あくまで欠片の集まりである事をこだわっています。個人的な好みなんですけどパズルのように、完成系があってそこに行きつくだけなのはやだなと。 偶然こういう形になったんだよ。そんな感じの。まだまだ形は変わっていくんだよ。っていう。 割と再録が多くて、一本通ったコンセプトのCDではないですが(紅魔郷オンリー、みたいなね)、だからこそ欠片の集合体かなーと。 後は自分が一つの形を持ってしまうのがあまり好きではないのかもしれません。 続いてく事が好きなんですたぶん。欠片を継ぎ足すも良いし。磨くのも良いし。そんな感じです。 ♯Arrangement O2をマスターアップして、その後the one'sというCDを作って、それからさあCDを作るぞっていうわけでは無くて。 まず夏コミでシングルを出して、その他にもちょいちょいCDを出して、よしじゃあアルバムを作るかという流れで作りだした感じです。 なんで各曲作ったタイミングがバラバラだったりするんですが、その割にはそんなにぶれてないかなーとは思います。 前回のO2、the one's辺りは結構ギターのトラックを増やして単純に音数を増やしたんですが、今回はシンプルに、少なめに落ち着いてる気がします。 その分、少ない音数で曲にキャラクターをつけられるよう、なんとかかんとかやってみたつもりではあります。 1.vivid*drop #Arrange 8月の終わり頃、名古屋で東方絢文禄3.5というイベントがありまして、そちらで頒布したvivid*dropというタイトルそのままのCDが初出です。 このCDはthe one'sのジャケットを描いてくれた白露さんという方とまあおもしろいことやろうぜーと、歌詞カード風イラスト本+CDという感じで共作して頒布しました。 そっちのCDでは岸本さんミックスバージョンが入っていたのですが、アルバムではみちるミックスになります。 共作という事でスケジュール的にお互いいっぱいいっぱいの中で作った記憶があります。 白露さんにイメージイラストを描いてもらう→曲を作る→イラスト本を描くという行程でした。大変だったなー。 で、しかもちょうど夏コミ、ライブ、絢文禄と1週間ごとにイベントがあったもんで結構つらかった。 曲は本当はもっと泥臭いリフものにしたろうと思ってがちゃがちゃやっとったんですが、イメージイラストを見て「ああこれは変えんとダメだ」と一回没にして作り直してます。さわやか路線に変更しました。ちなみにそのリフは一回ステイしたのですが、間奏とアウトロで結局使われています。 自分が水に持っている青いイメージ、怖いイメージ、切なげなイメージを表せたかなーと思います。vivid*dropの水は冷たいイメージです。 #Lyric 割と得意な感じの書き方でまとまってます。少しずつの変化というか。 自分の中で凄く印象が強いムラサの曲が二つくらいあって、この2曲とは違う、かつ自分っぽさを出した表現をしたいなーと思ってました。 僕のイメージするムラサは割と寂しがりで、足りない何かを埋めるように、何かを求めて、掴んで、引き寄せて、沈めちゃう感じで。 そんなようなアレをアレしながら書いてます。舞台は水中です。船ではなく。水の中からムラサは憧れながら何かを求めてるんだなーと。 2.フォーカスライト #Arrange なんちゃってジャズです。ギター入れたらブルースみたいになった。どうしてこうなった。 とにかくピアノが良い仕事してます。岸本さんに「だいぶ好き勝手やってくれ!」とお伝えしました。 元々自分が高校時代からあっためてた変なギターフレーズがあって、それは結局ギターソロで使ってる感じのフレーズなんですけど、それを久しぶりに弾いてみたら「おや、これさとりっぽくねえか」と。やってみたらこんな感じに。 とにかくちょっと毛色の違う感じに、悪い言い方すると変な感じにしようと思って録りました。 歌もなるべく気持ち悪い感じに歌いたかったんだけどあんまり変わらんね。個人的にラスサビが気持ち悪いです。 あ、あと初めてなんちゃってウォーキングベースやりました。サビでやってます。あんまり聞こえないけど難しかったです。 #Lyrics まぁ、なんて言いますか、自分なりの人間批判と、皮肉と、礼賛。ひねくれたモノが詰まってます。 奇麗な奇麗なでたらめとか、素敵な素敵な作り笑いが蔓延してて、うまく隠した心の中では何を思ってるんだろう。 見透かしたつもりで他人を笑ってる、その姿笑われてるよ。みたいな。まあそういう皮肉。 あんまり気分良いものではないのでそれは置いておいて。 さとりさんの能力って非常に曖昧で、心を読む程度の能力ってなってるんですけど。心ってどの辺までなんだと。 まぁゲームでトラウマを想起させたりしてるんで、記憶、感情、思考とかその辺が該当するのかなーとは思うんですが。 間違いなく言えるのは、読むとは言ってるものの、それは文字情報ではなく視覚情報だろうなーと。 そんな感じで、扉を覗き込むイメージが出来上がって。上で書いたように、うまく隠した本心を扉の中に見立てて。 その中にはきっとその人の心象風景が詰まってて。それを見て、自分は自分の景色をさらに彩って。 でも、自分の中の風景はきっと覗けないんだろうな。 3.針音アンバランス #Arrange 2011年の夏コミで頒布したシングル「針音アンバランス」に収録されていた曲です。表題曲でした。 このCDは「エモくさいCD作ろう!」と思ってたので、割とばばばっとかっこいい感じを目指して作ってます。 あとこの曲に関しては特に「ライブ映えする曲にしよう」っていうのを凄く意識しました。 ソロ後の「鳴り止まないんだ!」とか、アウトロとか。一緒に歌えたら良いなーって感じに作ってます。非常にうまくいったと思います。どや顔です。 右のギターは原曲のフレーズをだいぶ散りばめてます。弾いててとても楽しかったです。 当初はイントロのしゅごおおおってなってる部分がなかったのですが、まぁ寂しいから入れようぜーと。エモくささが増しました。 オーエンって結構Aメロ、Bメロ、サビ!みたいなのがなくて、サビのあのメロが凄く強くい曲ですよね。 さあどう扱えば良いのかなーと困ってたわけなんですが、うまい事自分っぽく落とし込めたかなーと。 #Lyrics フランというキャラクターをこう、掘り下げて行くとなんか密室的なイメージが非常に強いです。 閉鎖的な空間というか、幽閉されてるようなイメージが強いのかもしれない。 そういうモノを想起する言葉で、かつ僕が凄い好きな言葉で「箱庭」っていう単語があります。すっごい素敵な単語だと思うんですよ僕は。 そんな箱庭の中で時計と鼓動が止まることなく鳴り続いてます。 で、2011年の例大祭で頒布したO2というCDがあるのですが、このCDに収録されているRefrection Blueという曲があります。 この中に、箱庭、時計というワードが出てきます。 時計はいつしか壊れて音が鳴らなくなってしまうのですが。歪な音は未だ鳴り止まない。 まあ、あれだよ。針音と心音をかけています。 余談ですが、タイトル決めに当たって 4.プリズムソーダ #Arrange 針音アンバランスと同じく、夏コミで頒布したシングルに収録されています。なので、エモいです。 ツインギターで単音リフがエモいのやりたいね!っていうテーマで作ってます。あとは疾走感。 どうもにとりさんにさわやかーな印象を持ってて、そんなのを表せたら良いなとやってみました。 頻繁に出てくるツインのフレーズが一番楽しいですが、一番めんどくさいです。 右チャンネルのギターはほぼワンテイクで録った記憶があります。もう完璧に手癖とノリです。そんなものを感じて頂けたら。 シンプルな曲なので目立って語るところがないのですが、なんだかんだ凄い気に入ってる曲です。がつん!と。 #Lyrics にとりの原曲を聴いてふっと思い浮かぶ情景って滝なんで、そんな所から、イメージを広げてみました。 自然の中を、にとりが走っているイメージです。自分はものすごい田舎出身なんですけど、田舎っていうとなんか鈍臭くなっちゃうんですけど、ああいう所って時間の流れを景色だとか、聞こえてくる音だとか、空気のにおいとか、そういうもので感じられるので僕は好きです。 そんな移り行く景色だとか、そういうモノを閉じ込められたらなーと思って書きました。 しかしソーダ水という言葉から迸るTaNaBaTa臭が凄い。 思い描く情景は あ、にとり走ってる あ、こけた みたいなそういう。 5.qualia #Arrange ギターで原曲のフレーズを残しつつ、いかにアレを歌ものっぽく持って行くか、という感じでした。 個人的にBメロでがらっと変わったりする、Bメロがおいしい曲が凄い好きなんですが、これはいい感じにBメロに味をつけられたなと思います。 あとサビ。だいぶ原曲メロぶっ壊してますけど、よく聴けば何となく要素を含んでいるのがわかってもらえるかと思います。 不安感というか、不思議なあの感じを殺さないよう、サビでアルペジオを2パターンくらい重ねてみました。 とにかく雰囲気を殺さず、自分の色を混ぜて・・・っていう事を意識しました。うまくいったと思います。 当初はもっと泥臭く突き抜ける感じだったんだけどなー。やっぱりBメロからいつもの少年ヴィヴィッドだよなー。 #Lyrics 難産しました。というのも、元々練ってた構想が、よく調べてみたら見当違いだったというか・・・ 鵺ってなんかパーツのかき集めみたいなそんなイメージがあって、それもあってPiecesなんですが。 東方においてはぬえの能力で正体不明な感じにしてるんであって。 ってことは最初からぬえ自体はあの姿のままぶれてないので当初の「寄せ集め」みたいなイメージは消えていくので。 であるならばどういうイメージを持つのか。ここからスタートしました。 最初に抱いたのは「ぬえちゃんの羽の形ってあれぜったい飛べないよね。飛ぶ気ないよね。」っていうところで。 それから(形が)見えてるのに(姿が)見えない。みたいな感覚を持って。本質が見えない感じですよね。 で、飛ぶ気のない羽、見えるけど見えない、っていうものから矛盾を感じて。矛盾した組み合わせみたいな単語を使いたいなと思いました。 そんな訳で絵のない絵本とか、モノクロの虹とか、そういう表現が生まれて。なんか本質が見えない感じでいいなって。 そこから一気にばーっと書きました。本質とか中身、そういうモノは見えていますか?という歌詞です。 6.Walking in the Daylights #Arrange 妖夢、陽だまりを往く。みたいなテーマです。うそです。でもイメージする風景は陽だまりです。 生まれて初めて曲中でBPMを変えました。今まで変え方を知りませんでした。 前半はぽやーっとしてる、上にも書きましたが陽だまりのイメージを。眠気に負けて落ちていく感じです。 後半は走ってるイメージです。疾走。これも特に難しい事してないんですよね。 でも凄くまっすぐな感じです。まっすぐ。まっすぐ。 あ、ドラムがすっごいめんどくさいです。ドラム担当のじょじょさんに死ねって言われました。 #Lyrics なんか知らんのですが、僕は製作期間中に切羽詰まると変な夢を見る事が多いです。SIGHTっていう曲もそうだったんですけど。 この歌詞も、僕が見た夢をネタに使ってます。ちょうど見た夢の中に今はもう無い凄い懐かしい景色が出てきて。 前半は眠り、後半は覚醒っていう感じで書いてるんですが、割とそのままなんでわかりやすいと思います。 眠いときはずっとここにいたいし。走ってるときは前を見つめていたいよね。そうありたいね。そういう歌詞です。 7.記憶の欠片 #Arrange このアルバムの中では一番古い曲になります。 僕が少年ヴィヴィッドで活動を始める前、2010年は空ノ調べという名前で活動してたのですが、その頃の曲になります。 その頃の状態からほとんど変更はありません。ベースと右ギターと歌を録り直して収録しました。 これ作ったのってたぶん2010年の夏だったと思うのですが、ちょうどその頃家に1本しかなかったギターを調整に出してたんですよね。 そんな感じで手元にベースしかないときに作った曲です。なので、ベースが楽しい曲になっています。 結構スパッと出てきた曲ですね。そんなに難産しなかった気がする。 割といろんな人からお褒めの言葉を頂ける曲です。とてもうれしいです。アウトロとか気に入ってます。 #Lyrics 流れ星に乗って、流れ星に会いに行きたいな そういう曲です。空ノ調べの頃の歌詞はまだストレートでわかりやすいですね。 僕のアレンジには流れ星が主役の曲が3つほどあります。空調二重奏収録の人形と流れ星、the one's収録のcomet comfeito、もう一つがこれです。 この3つに出てくる流れ星は全部共通してます。なんとなくリンクしています。 8.あまおと #Arrange 2011年8月20日かな?弾幕横町ディハイドレイションというライブイベントがありまして、そこで頒布されたコンピに収録された一曲です。 非常に好きな原曲でずっとやろうやろうと思ってた曲なんですが、なんか今まで思いつかんかった1曲です。 そんな感じだったのですが、夏のCDを作る過程でなんかピンと来たものがあり夏コミの制作と並行して作りました。 全体的に気に入ってますが、特に気に入ってるのは2番Aメロの右ギターです。 東京事変というバンドのギタリスト、浮雲ごっこと称しててけてけ弾きました。ぜんっぜん浮雲っぽくない。 あとラスサビ。田辺さんのコーラスが非常に良いです。 #Lyrics 雨は眺める分には好きです。外に出るのはいやです。 この歌詞を書くときにイメージしたのが雨の日の喫茶店です。回る白、とかはコーヒーにミルクを注いだときの模様だったり。 あれ良いよね。くるくる回ってさ。模様がどんどんコーヒーに溶けていく感じが好きです。 結局雨は降り止みます。また日が差して、虹がかかって、またいつか雨が降るだろうけど。 こういう感じの、最初の方で書いたことにもつながりますが、何の気も無しに続いてく風景だったり情景っていうのが僕はたまらなく好きです。 |